飼育試験の餌やりを分担してはダメなのか?


いったん研究として餌の試験を始めると、それなりに長い期間、飼育に拘束されます。

だいたいの場合、6~12週間の飼育を行う事になります。
餌やりなどを基本的に個人で担当してもらうことになります。1トンくらいの水槽12〜18基、時には小さい水槽で21基など、餌やりだけでもそれなりに時間のかかる作業(1時間くらい)になります。

私も一時期、分担して飼育をすれば良いのでは?と考えた事がありますし、実際に行ったこともあります。
その結果、分担飼育が可能なのは、ある程度飼育経験を積んだ人間のみと考えています。

餌の飼育試験では、給餌条件が「飽食」であることがほとんどです。
摂餌量も毎日、天気や水温、前日の食べた量、成長で刻々と変わります。この経験を身に付けていると、摂餌量を記したノートを見て、自分の餌やりと別の担当との餌やりの比較、評価を行うことができます。今日の餌やりはそれでよかったのかどうかと。

この知識がないと、このぐらいは食べるはず!と長い時間、水槽の前で餌やりを粘ったり、逆に餌になれていない時に、食べないからもう切り上げる!といったことが起こります。これ、過食になったり、不十分な給餌量になってしまいます。餌の試験って結構シビアな面があり、飽食量給餌をできないと、正確な餌の評価ができません。はじめて飼育を担当した際に、当番制にしてしまうと、今日の摂餌量が妥当かどうかを判断できません。1週間(月曜から土曜まで)連続して給餌を行うことで、魚の摂餌量も変化することを知ることができます。そういった経験をするためには、やはり個人で担当するしかありません。

また、分担にしてしまうと、一番疎かになるのは責任の所在です。死魚、不十分な給餌などが起きやすくなります。そして、学生間のトラブルも発生しやすくなります。分担だと休みも増えて良いのですが、それ以上のデメリットがあるように感じてしまいます。

なので、飼育試験は基本的に個人で担当、もしくは私主体でそれのお手伝いという形になることが多いです。

餌やり、あんなの簡単じゃん!と思うかもしれませんが、不味い餌を食べさせたりといろいろそれなりに技術があります。
それと相手の側に立って考えることが苦手な学生が増えるとともに、魚の様子から飽食を判断できない学生も増えています。よく観察するとわかることなのですが、難しいみたいです。
活性が高い状態を維持するために、餌の投げ入れる量とスピードも適宜調節しているのですが、こういったことも苦手な学生が増えました。視覚で捉えた情報を処理して、自分の体を動かすといった一連の流れがスムーズにできないのかもしれません。
こんなの簡単だ!○○さんができるなら、俺にもできる!と意気込んではじめたものの、全然できずに落ち込んでしまうことも見かけます。客観的な評価って魚の餌やりにも重要みたいです。
魚が好きで飼育に興味があっても、養殖魚の餌やりには向いていないってこともあります。

生き物の飼育は容易ではない。それと飼育するには責任感をもって取り組んで欲しい。
そう考えると分担飼育は推奨できないな、となっています。

コメント

  1. 日本の問題の一つが非常に具体的、端的に、さりげなく提示されていて面白かったと同時に、問題は社会、国会、省庁に至るまでおなじか!と。別に匿名にしたい訳ではなく、Googleナントカが解らないだけです。でも、読む人いるのかな?

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