11月1日「海洋を考える」での質問・コメント等への回答


本日は、朝倉キャンパスでの授業を行いました。
授業終了後に受けたコメント・質問への回答をここでします。

多くの学生が、生産効率に着目してくれたようで良かったです。
タンパク質源になる食料の生産はどの種でも効率が良いとは言えません。
そうなると天然魚というものがあるなかで、天然魚を餌にしてまでどうして養殖魚を生産するのか?と疑問に持つ学生がいるのも不思議ではないと思います。
そこで今は、餌を魚粉・魚油から植物源(油粕)や水産加工残渣などへ代替が進められており、天然魚への依存を減らす努力がされています。

どうして養殖をするのか?に対する回答は「食べたいから」でしょうね。
結局、肉、鳥、魚に限らず、米、野菜、果物の生産も人間が食べたいから殖やしているのではないかと思います。一言で言えば人間の勝手な都合だと思います。
食べる=生きるは、きれい事だけでは語れないことだと思っています。

ではコメント等への回答です。
1. 藻類食やプランクトン食の魚を養殖して、それを餌にすることはできないのか?
理論的に可能ですが、コストの面であいません。それならば、植物原料や残渣を使う方が現在では現実的です。

2. 柑橘類以外で野菜・果物で魚に良い影響がでるものはありますか?
あります。生姜、ハーブ類、ニンニク、唐辛子、竹エキスなどたくさんあります。
癖が強いものほど、効果があるような気がします。

3. たくさんフルーツ魚がありますが、同じ柑橘系なので、そんなに差がないのでは?
そこまでして魚を売りたいのか?

魚が売れなきゃ生活できないので、売りたくて当たり前です。多くの学生は父兄に学費を払って貰っているはず。父兄に同じ質問を投げかけてみては。
柑橘類でもユズの様に特徴が出やすい種類もあれば、そうでもない種類もあります。が、いろいろ食べてみると少しずつ違いますよ。

4. 熊本の晩白柚の利用について。
熊本県でブランド魚をやるならば晩白柚を使っていたと思います。あの皮の厚さを利用するしかないと思います。

5. DHAの由来が魚類ではなく藻類ならば、どうして藻類を直接飼料に混ぜないのか?
藻類に含まれる油脂は少量です。それと細胞壁が消化の妨げになるので、抽出という作業が必要になります。これらのことから餌に必要な量を安価で得ることは難しかったです。
今は時代は変わり、DHAは培養した藻類で作られるようになってきており、私もそれを使って研究を始めています。でも魚油にくらべると値段が数倍高いです。

6. 養殖魚生産の支出に、網染代があった。なぜ染めるのか?
生け簀の材質にはいろいろあります(化繊、金属、樹脂)が、長いこと生け簀を使っていると、フジツボや藻が生えます。そうなると、生け簀の水通しが悪くなります。それらの発生を抑制するため、化繊の場合、認可された塗料で染めています。金属の場合は、潜水士を雇ったり、ロボットで洗っています。専門の会社もあります。成長低下や病気を防ぐために、網の目をきちんと保つのは重要な作業です。

7. 群れない魚を育てる際は、何か対策をするのか?
マダイも本来はそれほど群れない魚ではないかと思います。群れない魚だと、クエなどがいます。密度を薄くする、他魚種との混養をするなどくらいでしょうか。

8. 病気の対策は?
今はワクチンが主です。その他抗生剤も使いますが、休薬期間が定められており、出荷は体から薬が抜けてからになっています。ご安心を。

9.エゴマDHAと魚DHAの含量の違いは?
食品成分データベース http://fooddb.mext.go.jp で調べられます。

10. 自分では学ぼうと思わないことが学べて良かった(複数名)
これは素直に喜べません。大学生はいろんなことを自ら学ぶ姿勢が大切だと思います。
直接役に立たないかもしれないけど、いろんな事に触れるのは人生を豊にするし、人としての魅力も増すと思います。私がまた学校に行くのなら、そんな人が先生だったら良いなと思います。

以上です。






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