香気成分の検出(柚子鰤王)



12月7日(月)に届いた柚子鰤王の柑橘香成分の検出を行いました。
ブリの身から香りがすることの科学的な証明になります。
手順は、こんな感じです。
・身をミンチにする
・脂質を抽出
・香気成分を捕集剤を使って吸着させる
・香気成分を溶出
・溶出した液(ここに香気成分がとけているはず!)をGC/MSという機械で分析

私の研究室で検出できるのはd-リモネンという柑橘に一番多い成分のみです。また、機器の関係で標準品の溶出位置との比較で行う簡易的な同定方法になります。

図に示した結果は、左:標準品、真ん中:通常の飼料を給餌されたブリ、右:柚子鰤王 になります。チャートの検出パターンを見やすいようにトレースしたものです。横軸は時間(分)になります。分析の結果、d-リモネンは11分を少し過ぎたあたりで検出されました。このd-リモネンのピークは、通常の飼料を給餌されたブリの身からは検出されず、柚子鰤王では検出されました。(標準品は濃度が高いので、ピークがかなり高いです。)

つまり、柑橘香がきちんとブリの身に移行していることの証明(=香りがすることの証明)になります。この時点で移行が確認できましたので、出荷を迎える20日過ぎにはもっと香気成分が蓄積されていることと思います。

これで、安心して出荷を迎えることができそうです。
参考までに、人間がどのくらいからd-リモネンを感知できるかというと、0.038 ppm(ppm=0.0001%, 1g中に0.000038mg)からとのこと。(におい・香り環境協会 ホームページ調べ)。ざっくりとした計算ですと、柚子鰤王で検出された濃度は身1gあたりで20倍近いことになります。

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