阿多田島での取組紹介ーその2

生け簀のブリを楽しそうに見つめる組合長の後ろ姿です。

続きです。

フルーツ魚は乱立しており、品質も様々に感じます。
フルーツ魚として初めて開発されたのが、鹿児島の柚子鰤王になります。

ただ、初めて=売れる という構図は成り立ちませんでした。現在の流通の仕組みだと、出口(売り)を持った生産の方が数が出ますし、結果的に認知度は上がります。県と取組をしていると県からのサポートも得られるので、やはり認知度は上がります。

ホームページを作っても間違った情報は一人歩きしますし、一般の方はフルーツ魚を一括りに考えますので、たまたま良く無いフルーツ魚にあたった場合、フルーツ魚全体に悪い印象を及ぼします。

また、フルーツ魚ばかりをアピールしたいがばかりに従来の養殖ブリをけなす様な表現も生産者側のコメントとして見られることも残念に思います。きちんと育て、出荷された養殖ブリは十分に美味しい魚だと私個人は考えています。

上記の様なこともあり、私はあまりレモンでフルーツ魚を作りたいという広島県の取組には乗り気ではありませんでした。が、取り組まれる皆様が島の将来を真剣に考えていること、大学ときちんと連携して阿多田の養殖ブリを生産したいという気持ちが伝わり引き受けることにしました。

(後に、この判断が正しかったとわかる出来事がありました。レモンで鯛を作らないかというお誘いがとあるところからあったようですが、組合長が大学ときちんとしたものを作りたいと断って下さったそうです。結果、レモン鯛は愛媛で生産されています。商売にはタイミングも重要とは思うのですが、売れればそれで良いのかな?産業として広島県の養殖漁業の存続をどう考えるのかな?と疑問に思います。少なくともがっかりさせない商品を作って欲しいです。)

広島はレモンの生産量が日本一なので、レモンを使うことは初めから決まっていました。しかしながら、すでに大きい回転寿司チェーン店で商品化されています。こことどう差別化するのかが、大学の技術開発に委ねられるところです。いろいろ工夫はしてみましたので、試食でお確かめ下さい。

そして柚子鰤王で最も苦労したのが、「売り」です。この点については大竹市の方々が中心となってまずは広島県内に広報をしてくださっています。12月14日には大試食会が行われる予定です。早ければ次年度からは正式な販売に移行し、次のプロジェクトを開始します。

組合長や関係者のお気持ちを無駄にしないように、生産技術はもちろんのこと、協力できることはなんでもしたいと思っています。下の写真は、早速のマスコミ対応です。これからも取材があるようなので、がんばって対応します。

 お金を得ることはとても大事な事ですが、守るべきラインは守りたいです。この広島の取組ではそいういった方が集まって下さり、失敗はできないというプレッシャーを感じつつも気持ちよく、そして確実に前進できています。技術を活かすのはやはり「人」です。どんなことでも人がやはり大事で、人材の育成が重要と痛感します。


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