研究の種類ー栄養研の特徴


 高知のとても暑い日々は一段落したようです。今日は、研究のタイプについて記してみようかと思います。研究室分属や大学選びに役立てば嬉しい限りです。

 水族栄養学研究室の研究は、広い分野では農学の水産になります。水産の中でも、分野によっては化学系、生物系、物理系、人文(社会学)系等がありますが、そのなかの生物+化学系になるかと思います。

生物系の研究では、生きている動物を研究対象にしていることが多いです。なので、試験対象の動物を自分で飼育する機会が増えます。

生物の仕組み等の研究ですと、メダカやゼブラフィッシュなど小型で実験室内でも飼育できるような魚を利用します。これらの魚はいつでも購入できること、狭い空間でも飼えること、水温や日長を人為的に調整することが容易であることが上げられます。

乱暴な言い方かもしれませんが、研究者の都合に合わせて動物を管理することが可能です。

では、栄養研の研究対象であるブリはどうでしょうか?

ブリは天然種苗(海で漁師さんが獲ってきた魚を購入)しています。日本でとれるのは1年の内、春先だけで、5月に稚魚が入ります(もじゃこですね)。

そしてブリを飼育するには、大量の流れる海水が必要です(実験室内ではかなり飼育が難しいです。)。流れる海水なので、水温の管理はほぼ無理です。西日本の暖かい地域でしか飼育できません。しかも魚は生きているので、夏休みも関係なく餌をあげたり、水槽の掃除が必要になります。

ブリを研究対象にすると、魚の成長に合わせて試験(生活)を行うことになります。
夏に最も育つので、飼育試験は夏に行う事が多いです。
冬の成長改善の試験は、冬にしかできません。

いつでも好きなときに試験をする!とはいきません。

企業やマスコミ等の方々だけでなく、同じ研究者でも生物の飼育をしない方には都合の良い時にだけ魚を使えると思っている方が多いのですが、そんな事もあり試験の時期は魚に合わせるしかありません。

生き物は試験をする最中の世話はもちろんですが、その前後の世話もあります。

つまり、生物を使った実験は、対象生物の一生に責任を持って向かい合うことが必要です。

 どうしてそこまでして、ブリの研究をしているか!?と疑問に思うことでしょう。研究をする上で手元に実験魚がいることは何事にも代えがたいのです。栄養研は、飼料の研究をしていますので、ブリとタイがいないと研究が始まりません。本研究室は、小さな研究室ですが基礎的な研究をしつつ、実証化のちょっと手前までできる(研究と生産を繋げることができる)日本の水産系の大学のなかでも珍しい研究室です。

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