ブランドってなんだろう。

 近頃、多くの県でブランド魚のニュースを見かけます。柚子ぶりをはじめとして、各県で様々な柑橘魚(テレビではフルーツ魚として放映されていました)が開発されています。いろんな県で県独自のブランドを作り、それが売り上げに繋がるのであれば、嬉しいことです。ただ、柑橘魚といってもその製品は様々です。鹿児島県東町漁協の柚子ぶり「柚子鰤王」は「ゆず果汁」と「無農薬柚子の果皮」を使用しています。一番コストがかかりますし、時期も限定ですが、「柚子の香り」もしっかりとします。安全性やブランドとしての基準をきちんと考慮して生産をしております。
 その効果を科学的に証明するものとして当研究室から3つの論文を出しております。


1. Effects of Yuzu Citrus junos Peel from Waste as an Aquaculture Feed Supplement on Growth, Environmental load and Dark Muscle Discoloration in Yellowtail Seriola quinqueradiata

Haruhisa Fukada, Rie Shimizu, Takahiro Furutani, Toshiro Matsumoto
Journal of Aquatic Food Product Technology (accepted)


2.ユズ果皮ペースト添加飼料を給与したブリ幼魚における血合筋の褐変抑制
深田陽久・古谷尚大・益本俊郎

水産増殖 60, 135-137, 2011.

3.ユズ果汁添加飼料を給与したブリにおける血合筋の褐変抑制と筋肉中からのユズ香気成分の検出
深田陽久、橋口智美、柏木丈宏、妹尾歩美、高桑史明、森岡克司、沢村正義、益本俊郎

日本水産学会誌 76, 678-685, 2010.

 柑橘魚とは異なりますが、香川の「オリーブはまち」もきちんと論文としてその効果が報告されています。
 論文が出ていても美味しくなかったら売れませんので、作った魚が美味しいことが一番と思います。しかしながら、柑橘の皮を入った餌を食べさせていることだけを売りにするような商品が増えてくるようであれば、やっと日の目を浴びてきた柑橘魚の芽を摘むことになりかねないと心配になります。ブランドにはやっぱり規格と信頼が必要だと思います。

コメント

  1. テレビ局が作った”フルーツ魚”というワード自体に違和感を感じますね、キワモノ的なイメージです。その裏には”メディアへ売り込んで一気呵成にブームにしよう!”という逞しい(?)商魂が窺えます。

    地道に研究され、地道に試行錯誤を経て商品作りをする取り組みに対し、最近のこのような仕掛けはあまりにも安易であり長期的に生産者へ利益をもたらすものでは無いと思います。

    仰る通り、信頼を失いかねない動きだと思います。

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    1. そうですね。科学的な立証は無いまでも食べた消費者が違いを感じてもらえるような商品になっているなら問題は無いと思っています。ただ、ちょっと乱立気味なのと、良く無い話も耳にするので、ブームが一過性で終わってしまうことを心配しております。こうなってしまったのは詰めの甘さのせいでもあり、生産側の問題でもあるなと思っています。魚を食べる機会が増えたり、生産者にとって少しでもメリットがあるのであれば少しは救われた気持ちになるのですが、実際はどうでしょうか。

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