「柚子ぶり」を商標申請しておりました。

今回は、少々複雑な話です。
 柚子の香りをブリの身に付加した通称「柚子ぶり(鹿児島県東町漁協より商標申請中)」は、高知大学と鹿児島県東町漁協とで開発し、柚子の香りがすることをブランドの一基準として販売してきました。これは、エサにただ柚子を入れただけで無く、香り付けまで行った初めての養殖魚になると思います。その後、愛媛、大分、山口、三重などで柑橘類を用いた養殖魚の開発が進められ、販売まで至っている例があります。特許は諸事情により取得できませんでした。そのため、各県が開発を自由に行い、販売ができる状態になっております。なかでも柚子事業だけは、私個人と漁協という組み合わせで行われており、他の柑橘事業は県等のサポート等で宣伝も随分と力を入れてなされているような気がします。知名度を上げるためには宣伝って本当に大事なんだなあと痛感する近頃です。柚子ぶりは、良い商品として生産を続けることで地道に知名度を上げたいと思います。
 高知県でもブランド養殖魚の話が立ち上がり、私もCREST事業の一環として柚子皮の飼料への利用を水産利用研、漁業指導所、水産会社とともに始めました。できあがった製品は、身質が改善され良い物になっていると思います。嬉しいこととして、高知の柚子風味のブリの取扱が決まりました。しかしながら、困ったのは名称です。

 鹿児島県東町漁協で生産しているブリは、「柚子の香りがすることが基準」となっており、コストもそれなりにかかっております。(認可されれば、柚子ぶりまたは柚子鰤王になります。)
 高知県で生産しているブリは、「魚の嫌いな人が不得意とする香りのマスキング」が重視されています。(寿司チェーン店に出荷されるのはこちらです。)

 コンセプトが違う商品を同じ名前で売ることは市場に混乱を起こします。東町漁協にはこの分野の先駆者としてのプライドがあります。そこで、区別をするために東町漁協から商標登録を申請するに至りました。自分の研究成果が世に出て行くことは嬉しいはずなのですが、私の商売に対する考えが至らなかったと反省しております。産学連携はなかなか難しいです。



商標に関して「ゆずぶり」はなぜか拒絶されました。かぼすやオリーブ、ゆずまだいは登録されているのですが。しかも最近、別の所から「ゆずぶり」の商標の申請がされております(分類は別)。商売はやったもん勝ちの世界ですね。

コメント